〔この記事のまとめ〕
政治団体の収入と支出については、政治資金収支報告書に記載され、公開されます。過去、報道された支出については、SMバーの利用代金、真珠製品代、スポーツクラブ会費などがあります。政治家としては、国民・住民の賛同が全く得られないような支出は控えるべきように思います。
〔本文〕
国会・地方議員は、自分が代表となっている政治団体を持っているものです。そして、政治団体は、一年に一回、政治資金規正法に従って、政治資金収支報告書を作成しなければなりません。
これは公開されるもので、政治資金収支報告書には、その一年における、団体に入った収入と団体が支払った支出を記載しなければなりません。
政治団体によっては、自ら集めた寄附によって運営している団体もあるかもしれませんが、自分が所属している政党などから寄附という形でお金をもらっていることも多いです。その場合には、政党交付金をもらった政党が政治団体に寄附していることとなり、(寄附をもらった)政治団体は、国民の税金を運営資金としていることになります。ですから、もらっているお金を公明正大に、そして誠実に使うことが要求されることになります。
もちろん、税金をもらっていなかったとしても、政治家は、国民・住民の代表ですから、後ろ暗いお金の使い方は控えてほしいものです。
私は、政治家が、質のよい、そして十分な政治活動を行うには、ある程度の余裕が必要だと思っています。ですから、あまり、個々のお金の使い方について、「これはおかしい」「これは本当に必要だったのか」「もっと切り詰めろ」などと迫り過ぎるのも、不相当と思っています。
しかし、そうかといって、あまりにも政治活動とは程遠い支出が政治資金収支報告書に記載されていると、やはり疑問を持ってしまいます。政治団体に、国民の税金が収入として紛れ込んでいる場合には、なおさらです。
例えば、過去の事例では、政治団体の支出のなかに、いわゆる「SMバー」に対して交際費名目で支出していることがありました。
ほかにも、とある政治団体は、2012年~2013年に真珠や真珠製品の購入名目で31万5000円を支出していることもありました。
また、別の政治団体は、2014年3月に「スポーツクラブ会費」の名目でトレーニングジムを運営する会社に75万円を支出しています。
さらに、別の政党支部は、2013年からの3年間にボクシング観戦や手品ショーなどのチケット代として計25万2000円を支出していました。
そして、他の政治団体がゴルフのプレー代金を支出しているということもありました。
これらの支出はいずれも法律に違反しているものではありませんが、政治団体は、一定の政治における考え方を社会に訴えかけたりすることを目的とする団体や、特定の候補者を推すためのサポート団体、また政党の支部などを指します。
つまり、政治団体である限り、団体の使命や目的があるわけで、政治団体の支出は、その使命や目的を実現するための活動に沿った支出でなければならないはずです。国民・住民から全く賛同を得られないような支出は控えるべきでしょう。
例えば、ゴルフのプレー代金については、国民の中でも意見が分かれるのではないでしょうか。ゴルフを行いつつ、懇親を図って、その懇親をもとにして、政治活動に活かすこともありえます。一方で、反対する人からみれば、懇親を図るには、ゴルフじゃなくても、喫茶店で話せば十分でしょう、というところでしょうか。
一方、SMバーの利用料金は、そこで陳情を受けたという理屈はさすがに通らないと思われ、国民の賛同は得られないような気がします。
このように、政治資金収支報告書には、その一年における政治団体としての支出が公開されてしまうので、政治家としては、国民・住民の賛同が全く得られないような支出は控えるべきです。