政治団体は営利事業をすることができますか

〔この記事のまとめ〕

営利事業を行うことはできます。

〔本文〕

政治家が活動するうえで、各議員は政治団体(資金管理団体等)を設立しています。法律上は、政党も政治団体になります。

では、これらの政治団体の収支にあたって、どのような収入が想定できるでしょうか。

実は、法律等のルールでは、政治団体の収入として想定されているものは、①党費・会費、②寄附、③機関紙誌の発行その他の事業収入、④借入金、⑤本部又は支部から交付された交付金収入、⑥その他の収入と考えられています(政治資金規正法施行規則7条1項)。

このうち、②寄附はイメージがつきやすいと思います。「A議員には頑張ってほしいから、A議員の政治活動に対して寄附したい」と思った場合の、A議員政治団体への寄附をいいます。

ほかにも、A議員の政治団体の後援会になって、後援会費を支払いつつ、A議員の活動を応援することも考えられます。これは①党費・会費に当たるといえるでしょう。

では、政治団体が、(政治家個人の名前が入った)Tシャツを作ったり、本を出版して利益をあげることはできるのでしょうか。

 これらは、上記③の「その他の事業収入」に当たると考えられますので、許容されることになります。

 ただ、政治資金規正法という法律によれば、政治資金収支報告書に各事業の種類や種類ごとの金額の記載は求められます。その意味で報告はしなければなりません(もっとも、政治資金パーティ―開催事業のように対価の支払いをした者の明細などの記載は求められていません)。

政治活動と全く関係しそうにもない、例えば不動産業や飲食業を営むような場合はどうなのか気になるところですが、おそらく、それらの事業に取り掛かること自体が禁止されるということにはならないと思います。

不動産業や飲食業などの場合、他の業法(宅建業法など)があるので、それらのルールに従うのは当然ですが(資格の有無など)、少なくとも、政治資金規正法という法律を眺めてみて、政治団体であるからといって、一見、政治活動と全く関係しそうにもない業務を行おうとしても、締結した契約が無効になるといった判断は下されないと考えられます。

そもそも政治活動と全く関係しそうにない業務というのも、一概に判断することは難しいでしょうし、政治団体にも政治活動の自由が認められている以上、広範な活動を認める必要があるからです。

ただし、政治資金規正法8条の3には、政治団体の政治資金の運用方法について規定があり、政治団体が株の運用などをして利益を上げようとすることは禁止されています。

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