選挙が始まりました。選挙事務所を構えたのですが、選挙を手伝ってくれるボランティアなどにお菓子やケーキを振舞うことはできますか?

〔この記事で伝えたいこと〕

 選挙ボランティア等に「湯茶及びこれに伴い通常用いられる程度の菓子」以外の飲食物を提供することはできません。例えば、お茶、お煎餅、おまんじゅう、みかん・りんご等の果物、漬物などは許されるように思いますが、お酒、軽食、カツサンドなどを振舞うことは許されません。

〔本文〕

 選挙中では、選挙事務所を設けることが多く、その場所が選挙準備の要となります。駅で街頭演説をするときの準備をしたり、チラシに貼る証紙を貼ったり、多数の人が訪れます。ボランティアとして来てくれる人、激励に来てくれる人もおり、選挙中では、選挙事務所は重要な場所となるといえます。

 遠路はるばる来てくれたら、社会常識として、お茶を出したり、簡単なお菓子を出したいと思うはずです。ケーキを振舞ったり、場合によってはお酒を出して歓待したいとも思うかもしれません。

 しかしながら、公職選挙法139条は一定のルールを定めており、誰であっても、「湯茶及びこれに伴い通常用いられる程度の菓子」以外の飲食物を提供することを禁止しています。

 このルールを踏まえると、選挙事務所にきてくれたボランティア、激励に来てくれた方に「湯茶及びこれに伴い通常用いられる程度の菓子」以外の飲食物を振舞ってはいけません。

 「湯茶及びこれに伴い通常用いられる程度の菓子」とは一体どのようなものでしょうか。日本語の意味からすれば、お茶とお茶を飲むときによく付け合わされているお菓子となります。

 何がこれに当たるかはケースバイケースとしかいえませんが、やはり、日本酒、ワインなどを振舞うのは許されないでしょう。ゲンをかついで、(後述するお弁当として振舞うのではなく)カツサンドを振舞うのもやめた方がよいと思います。サンドイッチも同様で控えた方がよいと思います。

 一方、お茶、お煎餅、おまんじゅうなどは提供することが許されると思います。みかん、りんご等の果物、漬物などもセーフでしょう。ケーキなどは許されないようにも思いますが、ケーキといっても様々ですし、ケーキを振舞ったから必ずアウトとも言い切れないように思います。

 ちなみに「湯茶及びこれに伴い通常用いられる程度の菓子」を選挙事務所内で提供することが許されるだけであって、それをボランティアの方が持ち帰ることは想定されていません。

 また、公選法139条には「湯茶及びこれに伴い通常用いられる程度の菓子」でなくとも、飲食物を振る舞うことのできる、例外が定められています。衆議院比例代表の単独立候補以外の選挙では、選挙事務所のなかで一定の金額のお弁当の提供を行うことは許されるのです。ただこれも選挙を手伝ってくれた選挙運動員等に振舞うことが許されているだけですので、選挙を手伝ってもいない、ただの来訪者に提供することは許されません。

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