特定の政治家は、NPO法人であったり、一般・公益社団法人から政治献金をもらうことはできるのでしょうか。

〔この記事のまとめ〕

NPO法人から政治献金をもらうことは控えた方がよいと思います。一般・公益社団法人からもらうことは問題ないと思います。

〔本文〕

政治家の政治団体が、他者から政治献金をもらう場合、いろいろとルールがあります。例えば、企業は、特定の政治家の政治団体に寄付することはできません。企業から政治献金を受けるには、政党か政党支部でいただく必要があります。

では、NPO法人や一般・公益社団法人は政治献金をすることができるのでしょうか。政治家(の政治団体)はこれらの団体から政治献金を受けることはできるのでしょうか。

まず、NPO法人から説明します。

結論からいえば、特定の政治家(または政治団体としても)として、NPO法人から政治献金を受けるのは控えた方がよいと思います。

NPO法人に関する規定している法律は「特定非営利活動促進法」といいますが、この法律の3条2項には、「特定非営利活動法人は、これを特定の政党のために利用してはならない。」と規定しています。また、2条2項2号には、NPO法人たりうるには「特定の公職の候補者若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とするものでないこと」を求めています。

つまり、これらの規定から考えれば、NPO法人には一定の政治的な中立性が求められているということになります。

そして、認定NPO法人にいたっては、法45条1項4号で「特定の公職の候補者若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対すること」をしてはいけないと書かれているため、より厳格な政治的中立性が求められています。

政治献金というのはいわゆる特定政党または特定の政治家を金銭的にサポートすることをいうわけですが、これらの規定ぶりからすると、認定NPO法人については、政治献金をすることは許されないと考えられます。法45条1項4号で明確に「特定の公職の候補者若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対すること」は許されないと規定されているため、政治献金は許されないでしょう。

したがって、認定NPO法人から政治献金を受けようとする場合には、それを断るべきです。

認定NPO法人でなく、認定を受けていないNPO法人が政治献金を行うことはどうでしょうか。法2条2項2号は「特定の公職の候補者若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とするものでないこと」と規定しており、特定の政治家等の推薦を目的とすることを禁止しているだけで、一律に政治献金をすることまでは禁止していないと読むこともできます。

一方で、政治的中立性が求められることは変わりないので、認定を受けていないNPO法人であっても、政治献金をすることは許されないと考えることもできます(国政情報センター『政治資金規正法違反事例集』42頁などは同趣旨と考えられます)。

確定した判例などがあるわけではないので、明確な答えはありませんが、政治家としては、法律違反であると報道されること自体が、リスクを生むので(レピュテーションリスク)、認定であってもそうでなくても、NPO法人から寄附を受けることは控えたほうがよいと言えるでしょう。

次に、一般社団法人・公益社団法人については、政治献金をはじめとする政治活動を規制する規定そのものがありません。そのため(政治資金規正法に寄付額の上限などの規制があることは当然ですが)、特定政治家が一般・公益社団法人から政治献金をもらうことは禁止されないと思います。

ただ、公益社団法人は、一般社団法人とは違って、「学術、技芸、慈善その他の公益に関する別表各号に掲げる種類の事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与する」ような事業を行うことをメインの目的とする法人をいいます(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律2条4号、4条など)。

もしも、公益社団法人が、毎年にわたって、特定の政治家に寄付を続けていたり、特定の政治家の応援をかなり熱心に行っているようなケースであれば、もはや特定の政治家を応援していることがメインの目的であると判断されかねず、公益認定が外される危険性はあるのかもしれません。寄附を受ける際には、その点を確認してもよいのかもしれません。

そして、一般社団法人・公益社団法人から寄附をいただく場合には、政党か政党支部の名前でお金をいただいたほうがよいと思います。

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