政治とカネの問題に対して、対策を取らないことはどのようなリスクが発生するでしょうか。

〔この記事のまとめ〕

リスクがあります。次回の選挙において得票数を減らすことにつながります。

〔本文〕

「政治とカネ」にまつわる不祥事には、政治資金規正法違反、(買収などの)公職選挙法違反、(賄賂罪などの)刑法違反などが考えられます。

買収とは、当選するためにお金を配るような場合をいいますが、買収罪であれば、公職選挙法違反となり、罰金などが科されるだけでなく、公民権停止となり、政治家として活動することができなくなります。また、賄賂などをもらっていようものなら、「収賄罪」になり、刑法という法律に違反することとなり、重大な犯罪です。

それに引き換え、政治資金規正法に違反して報道されても、あまり大ごとに扱われていない印象を受けます。

政治資金規正法は、政治家や政治団体が活動するにあたって、もらってはいけない寄附についてルールを定めたり、寄附をもらえるにしてもその限度額を決めたりしている重要な法律です。もちろん、政治資金規正法違反でも刑事罰が科されることがあり、決して軽視することはできません。

しかし、政治資金規正法に違反する報道があっても、一時は大きく扱われるものの、特に問題となる金額が少ないような場合には、政治家は「ただの書き間違いだ」「事務ミスに過ぎない」などと言い訳を並べて、政治資金収支報告書の訂正などを行い、あまり大きな問題になっていない印象を受けます。

しかしながら、たとえ、刑事罰が科されずとも、「政治とカネ」にまつわる不祥事が報道されること自体、政治家にとっては大きな影響を及ぼすものと捉えるべきです。

それは、政治資金規正法も一つの重要な法律であって、政治家たるもの、あらゆる法律に従う必要性があることから当然ですし、それだけでなく、如実に、次の選挙における得票数に影響すると考えられるからです。

古い情報ですが、2021年4月18日の新聞記事によれば、朝日新聞社が行ったアンケートにおいて、次回の衆議院議員の任期が2021年10月に迫るなか、次の衆院選で投票先を決める時に、八つの事柄について、どの程度重視するかを4択で聞いています。そうしたところ、「大いに重視する」は「政治とカネの問題」53%が「景気・雇用」54%と「社会保障・福祉」53%にほぼ並んだとされています。「政治とカネ」の問題は有権者からみれば、決して軽視してよい問題ではありません。

「政治とカネ」に関する不祥事が報道されれば、得票数にも影響すると考えられます。

また、2023年12月には、政治資金規正法違反のニュースが大きく報道されることになり、有権者からも強い関心が寄せられました。

つまり、「政治とカネ」の問題が注目されている現代社会では、レピュテーションリスク(ネガティブな報道がされることによって評価が下がること)という観点から、報道されるだけで次回の選挙に影響を及ぼすと考えられるのです。

(政治とカネの問題ではありませんが)旧統一教会と接点があることを認めた議員であると報道されたことで、その議員たちの半分超は得票率を減らしたという結果が出た、という報道もあります(2023年5月8日朝日新聞朝刊)。

そう考えると、「政治とカネ」に関する不祥事の報道などは決して軽視してよいものではありません。

法違反を起こさないのは当然でありますが、それ以上に、「政治とカネ」に対する対策を取らず、ずさんな会計処理、お金の使い方をすることで大きく報道されることは、実際に落選する可能性を高めるといえるでしょう。

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