寄付をいただく際に気を付けることはありますか?

〔この記事のまとめ〕

選挙期間中なのか、そうでないのか等によって寄付をいただく場合のルールが異なります。

〔本文〕

日本では、国会議員を選ぶ衆議院議員選挙、参議院議員選挙のほかに、都道府県議会選挙、市区町村の選挙など、多くの選挙が実施されています。

政治家として活動する場合には、活動資金が必要です。そのため、寄付をいただくということは大変ありがたいことです。ただ、日本の法律には、寄付に関して様々なルールが設けられています。

政党によって、事情は異なりますが、現職の議員であればもちろん、立候補者の場合には自分の政治団体を持っていることが多いと思います。

〇 選挙期間中でない日常の場面において

選挙期間中でない場合(俗に、選挙期間のことを本番中といいます)、そもそも公職選挙法上、選挙運動は禁止されていますので、みなさんが街頭で演説をしたり、集会等を開いているのは政治活動です。そのため、選挙期間中でない時に、寄付をいただく場合には、政治活動の寄付としていただているということになります。それを政治家個人の名前でいただくことはできません。なぜならば、政治資金規正法21条の2第1項で、誰であっても、政治家・立候補者本人に、政治活動としての金銭等の寄付をすることが禁止されているためです。

ですから、もしも、選挙の本番ではない、日常の場面で特定の個人から政治活動上の寄付を頂く場合、政治団体の名前で領収書を発行するべきです。但し書きは「寄付として」で構いません。

なお、外国籍の方から、寄附をもらうことは禁止されているので(政治資金規正法22条5項)、お金を頂く際には、日本の国籍を持っているかどうかはチェックすることが必要です。

では、選挙の本番中ではない、日常の場面で、会社、法人、労働組合から「応援したい」と言われた場合にはどうしたらよいでしょうか。

残念ながら、政治家個人の名義でもらうことはもちろん、自身の政治団体(例えば、後援会など)の名義でいただくことも禁止されています(政治資金規正法21条1項)。ですから、もしも寄付をいただく場合には、後援会などの政治団体ではなく、政党本部か政党支部で領収書を切ることになります。

〇 選挙本番中

では、次に、選挙本番中に寄付をしたいと声をかけられた場合はどうすればよいでしょうか。

選挙の本番中のお金の収支は、選挙運動費用収支報告書を作成する関係で(余談ですが、これは選挙終了日から、15日以内に選挙管理委員会に提出しなければなりません)、日常の政治活動でのルールと若干異なります。

選挙期間中に、特定の個人から「陣中見舞い」「寄付」を渡したいと言われた場合、個人名義でいただいても構いません(政治資金規正法21条の2第1項)。①住所、②氏名、③職業などを伺いましょう。また、外国籍の方から頂くことは禁止されていますので、④日本国籍を有しているか否かを確認する必要があります。

なお、選挙の本番中に、政治活動としての寄付(政治団体への寄付)として処理すべきなのか、選挙運動としての寄付(候補者への寄付)として処理するのかは、寄付者の意向に寄るところが大きいでしょう。選挙運動の費用として使ってほしいという趣旨なのか、政治活動の活動資金として使ってほしいという意思なのか、誰にあげたいという意思なのかなどの意向を確認して、どのような領収書を発行するかを決めることになると思います。

もしも、立候補している個人名で領収書を発行した場合には、その収入は選挙運動費用収支報告書に記載しなければなりません。

そして、選挙本番中であっても、立候補者本人が会社、法人、労働組合など(政党・政治団体を除く)から寄付を頂くことは禁止されています。

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